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【IR担当者必見】東証(JPX総研)から、取締役・監査役スキル情報 (スキルマトリックス)をまとめたサンプルデータが提供されるようです

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Last Updated on 2025年9月2日 by ロジメイト編集部

東証(JPX総研)からスキルマトリックスをまとめた資料が提供されました

2025年8月19日、日本取引所グループ(JPX)の子会社であるJPX総研により、上場企業の取締役・監査役のスキル情報をデータベース化する取り組みが始まったようです。これまでCG報告書などのPDF形式で散在していたスキル・マトリックス情報を、生成AIを用いて統一的なフォーマットに変換し、投資家や企業が活用しやすい形で提供するのことです。

東証から公表されている「(参考)スキル・マトリックスの事例

弊社でもCG報告書の作成をご支援することがあるのですが、スキルマトリックスはご支援の際に、他社事例などが調べにくい論点の1つとなっています。

実際に手続きに沿ってダウンロードしてみましたが、確かにいままで横比較が難しかった項目が一覧化されるようになり、IR支援や、IR担当者等の方々も必見の資料となっております。

スキル・マトリックスの課題を解決

近年、コーポレートガバナンス・コード(補充原則4-11①)の要請により、多くの上場企業(特にコーポレートガバナンス・コードの全適用が要されるプライム市場上場企業、スタンダード市場上場企業)が取締役会をはじめとする経営陣のメンバーの専門性を「スキル・マトリックス」として開示しています。

取締役会は、経営戦略に照らして自らが備えるべきスキル等を特定した上で、
取締役会の全体としての知識・経験・能力のバランス、多様性及び規模に関する
考え方を定め、各取締役の知識・経験・能力等を一覧化したいわゆるスキル・マ
トリックスをはじめ、経営環境や事業特性等に応じた適切な形で取締役の有す
るスキル等の組み合わせを取締役の選任に関する方針・手続と併せて開示すべ
きである。その際、独立社外取締役には、他社での経営経験を有する者を含める
べきである。

これは、各取締役等が持つ経営、財務、法務、IT、国際性などのスキルを一覧表で示したものです。

しかし、これまでの開示されたスキル・マトリックスには大きな課題があり、企業ごとにスキルの分類方法や表示形式がバラバラで、しかもPDF形式での開示が主流だったため、複数企業の比較分析や業界全体の傾向把握が極めて困難なものでした。上述のとおり、弊社でも他社事例を完全に横比較することは難しい状況でした。

生成AIが実現する8カテゴリへの自動分類

JPX総研の新システムは、この課題を生成AI技術したようです。

各社の株主総会招集通知に記載されたスキル・マトリックスや選任理由を解析し、以下の8つのカテゴリに自動的に分類・マッピングしています。

  • 経営 – 企業経営全般の経験とノウハウ
  • 財務・会計・経営管理 – 財務戦略、会計知識、管理会計
  • 法律・リスク管理 – 法務、コンプライアンス、リスクマネジメント
  • 人事・人材開発 – 人事戦略、組織開発、人材育成
  • IT・デジタル – デジタル変革、テクノロジー戦略
  • 国際性・グローバル – 海外事業経験、グローバル視点
  • サステナビリティ・ESG – 環境・社会・ガバナンス課題への対応
  • 営業・マーケティング – 市場開拓、顧客戦略、ブランディング

この統一的な分類により、企業間の比較が容易になり、業界別の取締役会構成トレンドや、特定スキルを持つ人材の分布状況などが一目で把握できるようになります。

約3,700銘柄のビッグデータが示す可能性

今回提供されるサンプルデータは、プライム・スタンダード・グロース市場に上場する約3,700銘柄を対象としており、2024年度の定時株主総会から抽出された最新情報が含まれています。

投資家にとっては、取締役会の多様性やバランスを定量的に評価し、より精緻な議決権行使判断が可能になりますし、上場企業にとっては、同業他社との比較により自社の取締役会構成の強み・弱みを把握し、次期取締役候補の人選に活かすことが出来ます。

例えばですが「DX推進を掲げる企業で、IT・デジタルスキルを持つ取締役が不足している・・・」等といった状況が一目瞭然になるかもしれません。

正式サービス化に向けた第一歩

JPX総研は、このベータ版データを無料で提供し、利用者からのフィードバックを収集する方針です。申込者には2か月間の試用期間が与えられ、その間にヒアリングへの協力が求められます。(実際に私もヒアリングをさせていただきますとの連絡をいただいております。)


データ提供概要

申込ページはこちら

  • 申込期間:2025年8月19日より受付開始
  • 対象:ヒアリングに協力可能な投資家・上場企業・研究機関等
  • 提供形式:CSV/JSON形式
  • 利用期間:2か月間
  • 問い合わせ:JPX総研 フロンティア戦略部(inf_dev@jpx.co.jp)

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この記事の執筆者

西川隆将

西川 隆将

公認会計士
2015年に北海道大学在学中に公認会計士試験に合格。大学卒業後、EY新日本有限責任監査法人での監査業務を経て、株式会社BearTail(現TOKIUM)にて事業会社での実務経験を積む。その後、PwC税理士法人で税務業務に従事し、公認会計士として登録。2025年7月に「ロジメイト」を立ち上げ、監査・事業の各領域での豊富な経験を活かしたサービスを提供している。北海道帯広市出身。

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