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株式会社と合同会社どっちがいい?起業・法人成りで失敗しない会社形態の選び方【2025年最新版】


目次
Last Updated on 2025年8月1日 by ロジメイト編集部
株式会社と合同会社どっちがいい?起業・法人成りで失敗しない会社形態の選び方【2025年最新版】
起業や個人事業主からの法人成りを検討する際、多くの方が「株式会社」と「合同会社」のどちらを選ぶべきか悩まれます。
本記事では、両者の違いを徹底比較し、あなたのビジネスに最適な会社形態を選ぶためのポイントを解説します。

起業にあたって、一番最初に悩むのが、株式会社・合同会社、どの会社形態にするかです。ここでは株式会社・合同会社の主な違いや比較を分かりやすくお伝えしますね。
株式会社と合同会社の基本的な違い
まずは、この章では、株式会社と合同会社の基本的な違いを解説します。
株式会社とは
株式会社は、株式を発行して資金調達を行うことができる日本で最も一般的な会社形態です。
株主は会社にお金を出資する代わりに会社の持分(もちぶん)である「株式」を受け取り、会社の所有者となります。一方で、経営を行うのは、取締役陣です。例えば、上場会社などは、不特定多数の株主が存在していますが、経営をしているのはあくまでも取締役です。創業の場面等、所有者である株主と経営者である取締役の両者は一致することもありますが、あくまでも株主による「所有」と取締役陣による「経営」が分離されています。
株式会社の主な特徴
株式会社の主な特徴を簡単にまとめました。
株式会社の主な特徴としては、株主は出資した以上に責任を負わない、つまり、有限責任であること、上述のとおり、所有と経営の分離がされていること、借り入れだけではなく、会社の持分である株式を使った資金調達の柔軟性があることなどが挙げられるでしょう。
株式会社の主な特徴
- 有限責任:株主は出資した金額以上の責任を負わないこととされています。例えば、上場会社に投資をしていた際、経営破綻があったとしても、株主は投資した金額以上に損は被りません。
- 所有と経営の分離:株主が所有者で、取締役が経営を担当します。
- 資金調達の柔軟性:株式を発行して多くの人からお金を集められます。借入だけではなく、所有者である株主を増やすことで株式での資金調達を行うことができます。
合同会社とは
合同会社(LLC)は、2006年の会社法改正により新設された比較的新しい会社形態です。
出資者全員が有限責任社員となり、原則として出資者自身が経営を行うもので、株式会社のように「所有」と「経営」が分離されていません。
合同会社の主な特徴としては、以下のとおりです。
合同会社の主な特徴
- 有限責任:社員は出資した金額以上の責任を負わない。この点は、株式会社と一致しています。
- 所有と経営の一致:出資者(社員)が直接経営に参加することとなります。
- 意思決定の迅速性:社員の合意があれば素早く決定できる。重要な事項は所有者の意思決定である株主総会を開かなければならない株式会社と比較すると、大きな差異になります。
- 設立費用が安い:株式会社より設立にかかる費用が少ないです。株式会社の設立費用と合同会社の設立費用の比較は後ほど解説します。

株式会社と合同会社の主な特徴をあげましたが、まずは一目で比較したい。そんな方に向けて、まずは比較一覧表をご用意しました。
株式会社と合同会社の比較一覧表
最初に、一目で株式会社と合同会社の比較・確認・検討ができるように、株式会社と合同会社の比較一覧表を作成しています。
株式会社と合同会社の比較の主な項目については、以降の章で解説していきます。
比較項目 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
設立費用 | 約22万円〜 | 約7万円〜 |
定款認証 | 必要(約5万円) | 不要 |
登録免許税 | 15万円〜 | 6万円〜 |
最低資本金 | 1円〜 | 1円〜 |
代表者の名称 | 代表取締役 | 代表社員 |
出資者の名称 | 株主 | 社員 |
出資者の責任 | 有限責任 | 有限責任 |
意思決定機関 | 株主総会 | 社員総会 |
決算公告義務 | あり(年1回) | なし |
役員の任期 | 最長10年 | なし |
株式発行 | 可能 | 不可 |
上場 | 可能 | 不可 |
利益配分 | 出資比率に応じる | 定款で自由に設定可 |
社会的信用度 | 高い | やや低い |
機関設計の自由度 | 低い(法定) | 高い |
組織変更 | 合同会社への変更可 | 株式会社への変更可 |
株式会社と合同会社の設立費用の比較

株式会社と合同会社の設立費用の詳細比較表
株式会社と合同会社の設立費用の比較一覧表を作成してみました。金額の多寡だけ見ると、合同会社に軍配が上がることが分かりますね。
費用項目 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
定款認証手数料 | 5万円 | 0円(不要) |
定款印紙代 | 4万円(電子定款なら0円) | 4万円(電子定款なら0円) |
登録免許税 | 15万円〜 | 6万円〜 |
登記事項証明書 | 約2,000円 | 約2,000円 |
印鑑証明書 | 約1,000円 | 約1,000円 |
会社印鑑作成 | 約1万円〜 | 約1万円〜 |
合計(概算) | 約22万円〜 | 約7万円〜 |
株式会社と合同会社の設立費用で主にかかってくるのは、以下のような費用です。
株式会社の設立に必要な費用
- 定款認証費用:約5万円
- 登録免許税:15万円(最低額)
- その他実費:約2万円
- 合計:約22万円〜
合同会社の設立に必要な費用
- 定款認証:不要(0円)
- 登録免許税:6万円(最低額)
- その他実費:約1万円
- 合計:約7万円〜

合同会社は株式会社の約3分の1の費用で設立可能です。
費用面では、初期投資を抑えたい起業家には合同会社を選択することが大きなメリットとなります。
株式会社と合同会社の運営や手続きの違い

この章では、株式会社と合同会社のそれぞれの運営面の観点から比較を行っています。
まずは株式会社の運営で必要になる事項です。
株式会社の運営で必要になる事項
- 決算公告義務:あり(年1回、費用約6万円)
- 役員任期:最長10年(更新時に登記費用発生)
- 株主総会:開催義務あり
- 機関設計:取締役会などの設置が必要な場合あり。ただし、スモールビジネス等、取締役が少ないケースでは、取締役会設置をしなくても問題ありません。
合同会社の運営で必要になる事項です。
合同会社の運営で必要になる事項
- 決算公告義務:なし
- 役員任期:なし(登記費用の定期的発生なし)
- 社員総会:定款で自由に設定可能
- 機関設計:シンプルで柔軟

運営面や運営に関する決まりごとについては、株式会社よりも合同会社のほうが柔軟であることがわかりますね!
株式会社と合同会社の信用力・社会的認知度の比較
この章では、株式会社と合同会社の信用力や社会的認知度の観点から比較を行っています。
まずは株式会社の信用力・社会的認知度についてのまとめです。
やはり株式会社は、一般的な会社形態であることから、株式会社の信用力・社会的認知度に問題のあることはほぼないと言っていいでしょう。
株式会社の信用力・社会的認知度
- 歴史が長く、社会的信用度が高い
- 大企業との取引で有利になることが多い
- 採用活動で応募者が集まりやすい
- 金融機関からの融資を受けやすい傾向
一方、合同会社は信用力・社会的認知度の観点では、株式会社に見劣りしてしまいます。
合同会社のデメリット
- 認知度がまだ低い(特に年配の経営者層)
- 一部の取引先から「なぜ株式会社ではないのか」と聞かれることがある
- 求人応募者に説明が必要な場合がある

信用力・社会的認知度の比較では、株式会社に軍配が上がりますね!
株式会社と合同会社の資金調達の観点から見た比較

この章では、株式会社と合同会社の資金調達の観点から比較を行っています。
以下のとおり、株式会社と合同会社の資金調達に関する比較表を作ってみましたので、まずはこちらをご確認ください。
資金調達方法の比較表
資金調達方法 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
銀行融資 | ◎ 可能 | ◎ 可能 |
日本政策金融公庫 | ◎ 可能 | ◎ 可能 |
株式発行(増資) | ◎ 可能 | ✕ 不可 |
VC投資 | ◎ 可能 | △ 原則不可 |
エンジェル投資 | ◎ 可能 | △ 困難 |
社債発行 | ◎ 可能 | ◎ 可能 |
クラウドファンディング | ◎ 可能 | ◎ 可能 |
IPO(上場) | ◎ 可能 | ✕ 不可 |
補助金・助成金 | ◎ 可能 | ◎ 可能 |
株式会社の資金調達
株式会社の資金調達は何と言っても株式を用いた資金調達ができることがメリットです。
例えば、創業後、大型の資金が必要になった場合、未上場会社への投資を行うベンチャーキャピタルを株主として呼び込んで、大型の資金調達を行うこともできます。
株式会社の資金調達
- 株式発行:可能(エクイティファイナンス)
- ベンチャーキャピタル:投資対象となる
- IPO(上場):可能
- 社債発行:可能
合同会社の資金調達
一方で、合同会社は株式会社と比較すると資金調達の多様性では見劣りします。
合同会社の資金調達
- 株式発行:不可
- ベンチャーキャピタル:原則投資対象外
- IPO(上場):不可
- 社債発行:可能

資金調達を積極的に行う場合は株式会社を選ぶのが間違いなく良いということですね!
株式会社と合同会社の税制面での比較
ここでは株式会社と合同会社について、税制面で比較をしてみます。
とはいえ、以下のとおり、法人税率は株式会社・合同会社ともに同じですので、ここはあまり違いにならないことを覚えておけばいいでしょう。
株式会社でも合同会社でも大きく税制面でのメリット・デメリットはない
- 所得800万円以下:15%
- 所得800万円超:23.2%
ただし、細かい点では、メリット・デメリットがあるかもしれませんので、法人設立の際は専門家に確認しましょう。
起業家のタイプや事業、ケースごとに向いている法人
では、最後に起業家のタイプや、事業、そしてケース別に設立に向いている法人を解説します。
メリット・デメリット比較表
評価項目 | 株式会社 | 合同会社 |
---|---|---|
設立コスト | ✕ 高い | ◎ 安い |
運営コスト | ✕ 高い | ◎ 安い |
社会的信用 | ◎ 高い | △ やや低い |
資金調達の選択肢 | ◎ 豊富 | ✕ 限定的 |
意思決定スピード | △ 遅い | ◎ 速い |
経営の自由度 | △ 制限あり | ◎ 高い |
事業承継 | ◎ しやすい | △ やや困難 |
人材採用 | ◎ 有利 | △ やや不利 |
節税対策 | ○ 普通 | ○ 普通 |
上場可能性 | ◎ あり | ✕ なし |
株式会社での法人設立が向いているケース
株式会社を選ぶべきケースは、以下のとおりです。
特に、今まで解説してきた、費用面や運営面、信用力の観点でメリット・デメリットでの比較を行うとわかりやすいでしょう。
株式会社での法人設立が向いているケース
- 将来的に上場を目指している
- ベンチャーキャピタルから資金調達を検討
- BtoB事業で大企業との取引が中心
- 複数の投資家から出資を受ける予定
- 事業承継を視野に入れている
- 従業員を多数雇用する予定
合同会社での法人設立が向いているケース
合同会社を選ぶべきケースは、以下のとおりです。こちらも同様ですね。、費用面や運営面、信用力の観点でメリット・デメリットでの比較を行いましょう。
合同会社での法人設立が向いているケース
少人数で機動的に経営したい
初期費用・運営コストを抑えたい
BtoC事業やネットビジネスが中心
家族経営や仲間内での起業
利益配分を柔軟に設計したい
意思決定スピードを重視する
合同会社から株式会社への変更(組織変更)はできるのか?
なお、それでも決めきれない方に朗報です。
まずは、合同会社で法人をスタートして、後から株式会社に変更することも可能です。
合同会社から株式会社への組織変更の費用と一般的なタイミング
~組織変更にかかる費用~
- 登録免許税:6万円
- 公告費用:約4万円
- その他実費:約5万円
- 合計:約15万円〜
~組織変更の一般的なタイミング~
- 外部資本調達が必要になったとき
- 取引先から株式会社化を求められたとき
- 従業員数が増えて組織化が必要になったとき
株式会社と合同会社の実際の設立数データ(2024年)
法務省の統計によると、株式会社の新規設立のほうが合同会社の設立より、約3倍ほど多いことが分かります。
株式会社の新規設立数、合同会社の新規設立数
- 株式会社の新規設立:約10万社
- 合同会社の新規設立:約4.2万社
ただし、合同会社の設立数は年々増加傾向にあり、10年前と比較して約3倍に増えています。
まとめ:あなたに最適な会社形態(株式会社・合同会社)の選び方
株式会社と合同会社の選び方の最後のまとめです。
これまでに見てきた株式会社と合同会社、それぞれのメリット・デメリットをまとめています。
株式会社を選ぶべきひと
- 「信用第一」で事業を展開したい
- 外部資金調達を活用して急成長を目指す
- 将来的な上場を視野に入れている
- BtoBビジネスが中心
合同会社を選ぶべきひと
- コストを抑えてスモールスタートしたい
- 機動的で柔軟な経営を重視
- 当面は自己資金や融資で事業運営
- BtoCやネットビジネスが中心

最終的には、あなたのビジネスモデル、将来のビジョン、資金調達計画などを総合的に考慮して選択することが重要です。
迷った場合は、初期費用が安い合同会社でスタートし、必要に応じて株式会社に変更するという選択肢も検討してみてください。
よくある質問(FAQ)
合同会社設立にあたって、よくある質問をまとめましたので、ご確認ください。
-
合同会社でも融資は受けられますか?
-
はい、受けられます。日本政策金融公庫や銀行融資は会社形態による差別はありません。
-
合同会社の代表者の肩書きは?
-
「代表社員」が正式名称ですが、名刺等では「CEO」「代表」なども使用可能です。
-
個人事業主から法人成りするタイミングは?
-
一般的に年間利益が500〜800万円を超えたあたりが検討時期とされています。
-
合同会社でも助成金・補助金は申請できますか?
-
はい、ほとんどの助成金・補助金は株式会社と同条件で申請可能です。
この記事は2025年7月時点の情報に基づいています。法改正等により内容が変更される可能性がありますので、実際の設立時には専門家にご相談ください。
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