バックオフィス支援
【経理のプロが解説】経理内製化の第一歩|経理を行うための準備・システム選定・人材確保のポイントを解説


目次
Last Updated on 2025年7月31日 by ロジメイト編集部
【経理のプロが解説】経理内製化の第一歩|経理を行うための準備・システム選定・人材確保のポイントを解説
「そろそろ自社で経理を始めようと思っているけど、何から始めればいいのかわからない…」
記帳代行にお任せしていた経理業務を自社で内製化することで、経営判断のスピードアップやコスト削減が実現できます。
ただし、いざ始めようとすると不安も多いものです。
私たちがサポートしてきた企業の多くも、最初は同じような不安を抱えていました。
しかし適切な準備と段階的なアプローチをとれば、経理内製化は成功させることができます。
今回は、中小企業の経理内製化を成功させるための初めの一歩をお話しします。

経理の内製化は会社の成長のために必須!!
記帳代行と内製化、どちらを選ぶべき?
「そもそも記帳代行と内製化って、具体的に何が違うの?」という疑問をお持ちの方も多いでしょう。
詳細については、【公認会計士が解説!】記帳代行と内製化、どちらを選ぶべき?で専門家が詳しく比較解説しています。
まずはこちらをご覧ください。
簡単にまとめると、経理を内製化するの最大の特徴は「リアルタイム性」です。
記帳代行では概して月1回の報告を待つのに対し、内製化すればいつでも最新の数字を確認できます。

経理の内製化は、必ずやってよかったと思えるはずです!
頑張っていきましょう!
いつ始めるべき?内製化のタイミング
これまでの経験上、目安としては従業員20人を超えて売上3億円に近づいてきたタイミングが検討時期の目安です。
この規模になると以下の課題が顕在化してきます:
顕在化してくる課題
-
取引量が増えて記帳代行費用が月7~8万円程度になる
-
会社規模が増し、経営判断のスピードがより重要になる
-
複雑な取引や特殊な経費処理が増える
-
資金調達や営業の都合上、銀行や取引先への迅速な資料提出が求められる
上記の課題が出てきたら、経理の内製化を真剣に考える時期だと思います。
その他、将来的に株式上場を目指すのであれば、頃合いを見て自社で経理を行うようにしなければなりません。

現状に不満が出てきたら、迷わず経理の内製化を考えましょう!
実際の進め方|失敗しない5つのステップ
ステップ1:記帳代行から経理業務の引継ぎ
まずは記帳代行から経理業務を引き継ぐ準備です。
意外と時間がかかる作業なので、3ヶ月程度の余裕を見ておくことをお勧めします。
記帳代行との契約終了から実際のデータ移行まで、具体的な手続きについては記帳代行との上手な契約終了方法|データ移行、引き継ぎのポイントで詳しく解説しています。
移行を検討される前に必ずこちらをお読みください。

ポイントを押さえて、記帳代行からしっかり業務を巻き取りましょう!
ステップ2:システム選びが成功の鍵
次に、使用するサービスを選んでいきましょう。
必ず導入すべきなのは、下記になります。
導入すべきサービス
会計システム
当然のことながら、会計システムは各ベンダーが出しているものを使いましょう。
従来の会計ソフトと比べて、場所を選ばずにアクセス可能、銀行データの自動取り込み、複数人での同時作業、といった多くの利点があります。
特にfreeeとマネーフォワード クラウド会計がおすすめです。
※freeeとマネーフォワードの比較記事については現在執筆中です。
経費精算システム
次に、経費精算システムも、導入による効率化の効果が大きいです。
経費精算システムを導入せずに経費精算業務を行う場合、紙の精算書による手書きでの記入ミスや字が読めないといったトラブル、レシートの紛失による処理遅延、上司の出張中における承認待ちでの支払い遅れなど、様々な問題が発生します。
一方、経費精算システムを導入すると、スマートフォンでレシートを撮影するだけで自動的に金額や日付を読み取り、上司がどこにいてもリアルタイムで承認処理が可能になります。承認された経費は自動的に会計システムに連携され、重複申請や上限額超過も自動でチェックしてくれます。経理担当者の負担軽減はもちろん、従業員の申請手続きも格段に楽になり、全社的な生産性向上につながります。
実際のシステムとしては、バクラク経費精算がおすすめです。
法人クレジットカード
経費管理の効率化には、UPSIDERやバクラクビジネスカードといった法人クレジットカードの活用が効果的です。
これらのサービスは、複数枚のカード発行が可能で、部署や用途別に利用制限を設定できるため、経費の使いすぎを防げます。リアルタイムでの利用状況確認や自動的な経費データ連携により、月末の経費精算作業が大幅に削減されるのも大きなメリットです。
UPSIDERとバクラクビジネスカードの比較については、以下の記事で記載しておりますのでこちらもご確認ください。
これらの会計システムや、クレジットカードを使用しているのといないのとでは、業務効率に大きく差が出てきてしまうので、導入することをお勧めします。
その他に、請求書管理システムとしてはバクラクシリーズがおすすめですが、請求書の受領~振込に関してはスプレッドシートでも十分対応可能ですので、資金面で余裕がある場合は検討する程度で問題ないでしょう。

経理関係のサービスはむやみやたらに導入せずに、
必要なものだけ選択しましょう!
ステップ3:人の問題をどう解決するか
経理内製化で最も重要なのが人材確保です。
自社に候補者がいない場合、基本的には、新たに経理担当者を採用するのをお勧めします。
経理業務は専門性が高く、税務や会計の知識が必要なため、外部から経験者を雇用する方が確実だからです。
また、他にも以下のメリットが考えられます。
採用のメリット
-
即戦力として業務を開始できる
-
専門知識を持っているため教育コストが少ない
-
他社での経験を活かしたベストプラクティスを導入できる
では、どのような方が経理に向いているでしょうか。
自分自身の経験からは、以下の特徴に当てはまる方が経理業務に向いていると考えております。:
経理に向いている人の特徴
-
数字に強い:計算が得意で、数字の矛盾にすぐ気づける
-
几帳面で責任感がある:期限を守り、正確性を重視できる
-
コミュニケーション能力:社内外との調整や説明ができる
-
継続学習意欲:より深く広く制度や法律を知ろうとする意欲がある
-
ITリテラシー:会計システムやExcelの操作に抵抗がない
自社の経理を任せる方なので、社長自身がしっかり面接を行いましょう。
なお、報酬の金額としては、以下が目安になるかと思います。
なお、メイン担当者のサポート役として、(もしいらっしゃる場合は)今まで記帳代行とのコミュニケーションを主に担っていた方は引き続き業務に協力いただきましょう。
これまで資料を集めていたノウハウは、経理を内製化していくうえで必ず必要になります。
私の経験上、新たに採用した経験者をメインに据え、上記のような既存社員の方がサポートする体制が安定する印象があります。

経理を担う人の責任は重大!
良い人をしっかり見極めましょう!!
ステップ4:ルールを決める
ここまでのステップで決定したことを踏まえ、最後に誰が・いつ・何を行うか、社内のルールを決定しましょう。
経理の内製化を成功させるには、明確なルール作りが欠かせません。曖昧な役割分担や期限設定は、後々のトラブルの原因となります。
決定すべき、基本的なルールは下記となります。
基本点なルール
-
担当者の役割分担:各担当者の業務範囲
-
業務スケジュール:日次・月次・年次業務の実施タイミング
-
各種承認フロー:誰が作業して、誰がチェックするか
-
データ管理ルール:書類やデータの保管場所や命名規則
これらのルールの集合体が、業務フローとして機能していくことでしょう。
実際に業務を回していき、業務フローが確立されると、新しい担当者が入社しても短期間で業務を覚えられますし、繁忙期でも品質を落とすことなく処理できます。
簡単なポイントとしては、経理部のみではなく、他部門も巻き込んでこれらのルールを決定していくのが大切です。
経理部は結局のところ、会社の情報を適切な形に加工し、保管していく部門といえます。情報の発生源である営業部などが適時に、適切な形で、顧客情報や契約情報などを経理に渡さなければ、経理側が優秀でも上手くいくことはありません。
情報を適切に渡さなければ経理に迷惑がかかる、という意識は社長などのトップがしっかり各部に伝達しなければ、中々根付いていきません。
そのため、ルール策定の段階から営業部、総務部、製造部など関連部署の責任者を巻き込み、「経理内製化は全社プロジェクト」として取り組むことが成功の鍵となります。
※こちらのルールの設計のコツは、現在執筆中の別の記事にて解説したいと思いますので、そちらをお待ちいただければと思います。

ルールを守れば滞りなく業務が回る、という状態が理想ですね!
FAQ
Q: 内製化にどのくらい時間がかかりますか?
準備から安定稼働まで、だいたい3か月から半年程度を見込んでおくと良いでしょう。
従業員30人規模だと、システム導入や人材の確保や育成、業務フロー構築に2ヶ月、経理の内製化を始め、業務が安定するまでに3~6ヶ月というのが一般的なパターンです。
Q: 税務申告も自社でやるべきでしょうか?
従業員30~50人規模の中小企業の場合、年次決算と税務申告は税理士の方との顧問契約を続けることをお勧めします。
経験者を採用したとしても、税務申告まで対応できる方は少なく、ミスをした際の影響が大きくなることを考慮し、税務申告は税理士に任せた方がいいでしょう。
月次業務を内製化することで税理士費用も抑えられますし、記帳代行を除き税務申告のみを対応いただくことによりもコスト効率の良い体制になります。
まとめ
今回は、経理の内製化をしていくにあたって、必要な準備に絞って解説いたしました。
経理内製化により、毎月の数字をリアルタイムで把握し、迅速な経営判断が可能になります。
ただし、内製化には正しい知識と経験が不可欠です。「失敗したらどうしよう」という不安もあるでしょう。
ロジメイトなら、経理のプロが貴社の内製化を成功まで伴走します。記帳代行との契約終了から新体制の安定稼働まで、すべてお任せください!
バックオフィス業務でお困りなら「ロジメイト」へ!
記帳業務を含むバックオフィス全体の課題解決をお考えでしたら、ロジメイトをご検討ください。

ロジメイトは、経験豊富な公認会計士がリードする総合的なバックオフィス支援サービスです。記帳代行か内製化かの判断から、最適なシステム選定、業務フロー設計、運用サポートまで、企業のフェーズに合わせて包括的にサポートいたします!!
ロジメイトの特徴
-
公認会計士による専門的なサポート
-
企業ニーズに合わせた最適なSaaS選定・運用支援
-
創業期からIPO準備企業まで幅広い実績
-
自走運用までの徹底したサポート体制

我々が丁寧にサポートいたします!ぜひお問い合わせください!!